名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック

魚油を摂ろう

 脂質はコレステロールと中性脂肪に分かれます。脂質は三大栄養素として体内のエネルギーの元になりますが、脂質はエネルギーに変換される過程で脂肪酸になります。脂肪酸は、獣油の飽和脂肪酸と、魚油や植物油の不飽和脂肪酸に大別されます。前者にコレステロールの成分が多く、後者には少ないので、不飽和脂肪酸に方が総じて健康に良いと言えます。

 不飽和脂肪酸は"やわらかい油"で、固まりにくく細胞膜の成分として細胞の柔軟性を保ちます。一方、飽和脂肪酸は固まりやすく、脳においては神経細胞に飽和脂肪酸が多いと柔軟性が落ち、神経伝達機能が低下します。ボケには肉より魚が良いと言われる理由はここにあります。

 不飽和脂肪酸にはオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、EPA、DHAなどがあります。EPA、DHA以外は菜種油、オリーブ油、サラダ油などの植物油ですが、善玉コレステロールを増やしたり、中性脂肪を減らす働きがあります。更に魚油であるEPA、DHAは動脈硬化認知症の予防効果に注目が集まっています。寒流魚は-45°Cの海中でも血液は固まりません。このようにEPA、DHAは血液をサラサラにします。またEPA、DHAは神経細胞膜の成分に多いので、魚油の摂取は認知症の予防に有用といえます。魚油を植物油の1/4以上摂ることをお勧めします。

 しかし魚油にも弱点があり、酸化されやすい性質を持ちます。酸化とは体のサビである活性酸素が増えることで、老化や様々の疾患の元になります。不飽和脂肪酸が酸化するのを予防する中心になるのがビタミンEです。魚には魚油と一緒にビタミンEも含まれているので心配いりませんが、効率的に摂取するため薬剤やサプリメントを用いるのも一手かもしれません。

関連する今月の話題