名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック

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もくもくワクワク

 私は神経内科医なので、疾病や情緒を脳内の神経伝導物質と関連づけて考えることがよくあります。有名なところでは、脳内のドーパミンが不足するとパーキンソン病、アセチルコリンが不足するとアルツハイマー病、セロトニンが不足するとうつ病などが知られています。またストレス全般においてノルアドレナリンが強く作用することは先にも述べました。
 脳内の神経伝導物質は他にも多数存在しますが、それぞれが別個に働いているわけではなく、関連し合って脳(精神)機能をコントロールしているのだと思われます。出来るだけ簡単にまとめると、私はセロトニンとドーパミンが大切だと思います。キーワードはセロトニンが「もくもく」、ドーパミンが「ワクワク」の精神状態に関与するのです。

 セロトニンはノルアドレナリンを調整します。そのため、セロトニンが不足するとノルアドレナリンが暴走します。ノルアドレナリンが暴走するとやる気や緊張感の低下、不安や興奮などの情緒不安定が起こるのです。すなわち、セロトニンはノルアドレナリンが低下しやる気や緊張感が低下すると頑張れと励まし、ノルアドレナリンが過剰になり、不安や興奮が強くなりすぎるとなだめるのです。そうして集中力をもたらし、「もくもく」と物事に取り組むことができるのです。

 「もくもく」ができるようになったら今度は「ワクワク」です。ドーパミンは集中力や記憶力を高めます。そして、どんどん吸収、上達してやろうと努力したくなるのです。ドーパミンが減ると無為 無動と言った精神状態に陥ります。万一、ドーパミンが過剰に出るとノルアドレナリンに変化し、情緒不安定になります。こんな時、セロトニンはドーパミンがノルアドレナリンに変化するのを抑えるのです。こうして適度なドーパミンが向上心を生み、「ワクワク」と物事に取り組む事ができるのです。

 みなさんはどうでしょう? 最も困るのは、セロトニンもドーパミンも分泌されないことです。何のために生きているのかわかりません。ストレスで脳内にノルアドレナリンが生じると、心身ともに色々と疾病が生じます。その代わり、セロトニンやドーパミンが分泌されるとストレスもプラスに出来るようになります。アルツハイマー病で情緒不安定や問題行動が起きるのも、脳内でノルアドレナリンなどが暴れているからです。「もくもくワクワク」する生活習慣を身につけることで、上質な人生が送れるのではないでしょうか。特に老後は「もくもくワクワク」が必要です。若い頃より、意識して「もくもくワクワク」の種を探しましょう。

もくもくを増やすには= ワクワクを増やすには=

セロトニンを増やすこと

ドーパミンを増やすこと

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