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プラーク

 頚動脈エコーにおいて動脈硬化の指標になるのがプラークです。プラークとは「斑」という意味で、動脈の内腔に現れる斑状の盛り上がりを指します。これはどのようにして出来るのでしょう?

 動脈の内腔は血液がこびりつかないようスベスベにコーテイングがしてあります。動脈壁は内側から内膜、中膜、外膜の3層から成り、内腔は内膜により守られています。ところが老化が進むと、内膜の表面が荒れて、スベスベではなくなり、血液がこびりつくようになるのです。

 川の流れを想像してみて下さい。川岸がスベスベでなくなると、川を流れる砂が川岸に溜まります。この代表がコレステロールで、最も溜まりやすいのが悪玉コレステロールと言われるLDLなのです。さらにLDLでも小粒なものほど内膜に入り込んでいき、これが動脈硬化の第一段階となり内膜の肥厚と言います。

 第二段階は、動脈内膜で待ち構えていたマクロファージという血液成分が、侵入してきたLDLを食べて退治していく段階ですが、余り食べ過ぎると風船のように膨らんで動けなくなります。コレステロールを入れた袋が動脈壁の中に敷き詰められたようなものです。この袋がどんどん増えていくと、盛り上がって血管の内腔に山のように突き出て来ます。これが出来たてのプラークです。

 第三段階は、動脈中膜にある平滑筋細胞が内膜まで出て、できたプラークを修復する段階です。膨れて破れそうなコレステロールのプラークの周りを取り囲み、破れないよう保護します。軟らかいアンコを包んだ皮の様な役割をし、崩れない饅頭が出来上がるのです。平滑筋細胞はプラークを安定させる役割をします。

 ここからが運命の分かれ道です。正常の老化であれば、長い年月をかけて、平滑筋細胞に囲まれたコレステロールも硬くなっていき(線維化と言います)、安定した線維性プラークが出来るのです。こうなれば、もう壊れることはありません。これが加齢による動脈硬化なのです。

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 ところが血液中を流れるコレステロールが多い状態が続くと、どんどんコレステロールの袋が増えていき、平滑筋細胞もコレステロールを包み込んで安定させることが出来なくなります。いつまで経ってもコレステロールは密封されず、軟らかいままで、不安定な脂質性プラークになります。脂質性プラークは短期間で拡張し、何かのきっかけで破綻してしまいます。これにより動脈がつまってしまい、血管障害が起きるのです。これが病的な動脈硬化です。

 頚動脈エコーで第二段階まで動脈硬化が進んでいたら、すなわち軟らかいプラークが認められたら、コレステロールなどの管理が運命を分けることになる訳です。

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