名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック

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心拍変動パワースペクトル解析で、自律神経機能を数字にする

 自律神経には交感神経と副交感神経があり、両者はシーソーの様に上になったり下になったりして均衡を保ち、それぞれの臓器を効率よく動かすという無数の電線なのです。この機能を測定するのは容易ではありません。肝臓や腎臓の機能は血液検査で評価出来ますし、胃や.腸はバリウムを注入したり、カメラで観察することが出来ます。心臓の動きは心電図、心臓エコーなどで調べられます。脳もMRIなどでかなり細かく観察することが出来ます。これらに対して、自律神経は体じゅうを縦横に走り回る細かい末梢神経なので、直接取り出して調べる訳にはいきません。 このように自律神経機能を直接評価するのは難しい為、自律神経の支配する臓器の動きから、間接的に自律神経機能を推定する方法が用いられます。その一つが心拍変動パワースペクトル解析です。

 この解析方法は、心臓の動き(心拍)から逆算して、それを制御している自律神経(交感神経と副交感神経)の機能を導き出す測定法です。渡辺クリニックではこの測定を行っています。理論は複雑なので省略しますが、自律神経の強さを数字で出すことが出来るので、説得力があります。開業医広しと言えども、この検査が出来る医院はほとんどないと思います。

 一般には「自律神経失調症」という診断は容易になされる傾向があります。ストレスなどがあり、動悸やフラツキが起これば、「自律神経失調症」と診断されてしまうからです。ところが、実際は自律神経機能に問題がなく、精神的不安だけで動悸やフラツキが起こることも少なくありません。

 心拍変動パワースペクトル解析を行うと、動悸やフラツキが精神的不安なのか、自律神経によるものかが判定できます。その結果、自律神経機能に問題がなければ、精神面だけフォローしていれば安心です。しかし自律神経失調症があれば、内臓疾患の危険性があるので、内科的に診療をすべきです。

 渡辺クリニックでは、昨年の「12.万病の元の自律神経失調を治すこと」で述べたチルト検査と心拍変動パワースペクトル解析を同時に行ない、動悸、フラツキ、メマイ、頭痛、立ちくらみ、不眠など多くの症状に自律神経が関与しているか否かを評価し、心臓病や脳卒中の予防、治療に大いに活用しています。

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