名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック

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リハビリの中核は歩くこと

 リハビリとは何でしょうか? 私は、リハビリとは体にマッサージや電気を流してもらうことではなく、自分で努力して体を動かすことだと思います。病院や治療院で受ける指導や治療は、歩くためのコンデイションを整えるためにあり、日常生活で努力することがリハビリの本道と言えるのです。

 日常の運動で中核になるのが歩くことだと思います。歩くことを抜きに、筋トレやマッサージばかり受けていても意味がなく、「本末転倒」と言えます。歩くスピードはその人の運動能力で決まりますから、決して無理に速く歩く必要はありません。高齢者への指導は、一歩一歩を出来るだけ大きく歩き(小股で歩くと前に突進する)、足を挙げること(足が挙がらないと少しの段差にもつまずく)に留意してもらう事です。自分の歩行能力を把握し危険を減らし無理のない歩行をして頂くことが大切です。

 歩くことは代謝改善だけでなく、脳、自律神経、骨などにも好影響を与えます。歩くことにより脳血流が増加し、認知症を減らします。そして自律神経失調症を改善し、内臓の動きを円滑にします。また、メタボリック症候群を改善し、動脈硬化の進行を抑えます。そればかりか、免疫力も向上させ、カゼ、肺炎、さらには癌の発症を減らします。骨に対しては骨密度を増やし、骨粗鬆症を防ぎます。以上のように、楽しく歩くことで色々の副産物が期待できます。

 それに歩くことを中核(前提)として、筋トレ、階段昇り、自転車こぎ、プール歩行などオマケの運動を追加すると、更によい結果が得られます。これらのオマケの運動は、腹筋、背筋、殿筋、大腿筋などの大きな筋肉の強化が目的です。これらの体幹筋を鍛えることにより体のバランスが安定し、また大きな筋肉を増やすことで、基礎代謝が増えることはこれまで述べた通りです。

 もっとも、ただ歩くことだけに執着して、転倒してしまっては元も子もありませんから、転びにくい体に整えておくため、硬く縮んだ筋肉を伸ばし、ほぐしてあげることは大切です。これがストレッチであり、マッサージであるのです。硬くなった筋肉は乳酸が貯まり痛みを起こしますので、ハリや電気で緩和する方法もあります。リハビリの手順としては、硬い筋肉を直し、次に大きな筋肉を鍛えることで、歩く準備を万端にして、安心して歩行してもらうのが合理的ですが、何を第一(中核)に考えるかといえば、やはり歩くことを念頭に置くべきです。

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