名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック

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脳貧血に注意

 昨年末、数年ぶりに救急車を呼びました。患者さんは82歳男性で、動脈硬化が非常に強い方です。その彼が待合室で意識を失くしてしまいました。ベッド上で意識を取り戻した彼を立たせてみると、再び意識消失。何が起こったかというと、起立により脳貧血が起こってしまったのです。

 脳貧血は大きく2つに分けられます。一つは血圧が下がって脳に血液が届かなくなり、脳貧血を起こすパターン。この代表は起立性低血圧で、どんな人でも最高血圧が70位になると失神してしまいます。不整脈で、一時的に心臓が止まっても血圧が下がり失神する場合があります。そしてもう一つのパターンが脳動脈硬化です。

 脳動脈硬化があると、心臓から脳に血液を送る道がデコボコ道になってしまいます。こうなると、ちょっとした血圧変動や脱水で脳に血液が届かなくなり、意識が低下してしまいます。場合によっては、そのまま脳梗塞に進行してしまうこともあります。高齢になったら、日頃から動脈硬化の程度をチェックしておくようにしましょう。そのためには頸動脈エコー検査がとても大切です。頸動脈硬化の程度を観察するとともに、頸動脈血流速を測定するのです。平均に比べて頸動脈血流速が遅いのは、脳血流が少ないことを意味します。脳貧血予備軍です。失神しなくても、歩行時にふらつく高齢者は慢性の脳貧血かもしれません。注意して下さい。

 彼は救急車で名古屋第一赤十字病院に運ばれましたが、運ばれていく時、「もうタバコやめる」と宣言しました(ちょっと遅い!?)。いつもながら感心するのは、救急車の対応の早さです。3人も救急隊員が来てくれて、丁寧に処置をしてくれました。この点においては、日本は世界一だと思います。救急車に感謝、最高!

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