名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック

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フレイル!

フレイルという言葉が注目されてきています。これは簡単にいうと、"老後の心身の衰弱"のことで、"寝たきり予備群"、あるいは"認知症予備群"ともいえます。体重がだんだん減少する、歩くのが遅くなる、疲れやすい、運動することがなくなる、などが診断基準です。フレイルの根本は栄養失調から起こる臓器の衰弱で、“足りない病”とも言えます。メタボとは逆に、フレイルではやせていって病気が起こるのです。 

中高年は太らないようにするメタボ対策が必要ですが、老後は反対にやせないようにするフレイル対策に変わります。ともに運動することは大切ですが、若いうちは"食べ過ぎないよう"、年を取ったら"食べるよう"心がけるべきです。どのあたりで切り換えるかというタイミングが難しいわけで、これが「命の潮目」といえます。 

老後は栄養の消化・吸収が悪くなる、筋肉が減る、骨がもろくなる、脳の神経細胞が減るなどの老化現象が起きます。それまでの貯金が減っていきます。こうして「足りない病」が起こるのです。筋肉が減ると転倒しやすくなり、骨がもろくなると転倒した時に折れやすくなります。心筋も筋肉ですから、減ると心不全に近づき、息切れがしたり運動機能が低下していきます。こうして歩かなくなると、免疫力が低下して肺炎が起こります。また神経細胞が減りすぎると認知機能が低下していきます。転倒・骨折、心不全、肺炎、認知症(アルツハイマー病)はフレイルから起こる「足りない病」なのです。色々な栄養素が足りなくなるから、病気が起きるのです。75~80歳を境に治療方針が反対になってしまうのです。「命の潮目」です。 

「栄養過多(余る)から栄養失調(足りない)へ」「メタボからフレイルへ」「余り病から足りない病へ」というように、病気の潮目が変わる時を見逃してはいけません。昔はフレイルに至る前に死んでしまいましたが、100歳時代を迎えようとしている我が国では、フレイルという言葉も頭の隅に置いておくべきです。

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