名古屋市の認知症、動脈硬化、自律神経失調症、その他脳、神経に関する専門的クリニック

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頚動脈エコー(超音波検査)の有用性

"" 渡辺クリニックでは頚動脈エコー(超音波検査)をよく行います。頚動脈エコーでは、動脈硬化の程度と脳への血流量を簡単に評価でき、重用しています。以下に、その有用性を述べます。

 例えば、高血圧、糖尿病、高脂血症を持った患者さんがフラツキを訴えて受診したとします。このような場合、MRIなどの大掛かりな検査を行う前に、頚動脈エコーを行うと、かなりの情報が得られます。この患者さんは動脈硬化の危険因子を持っているので、動脈硬化がかなり進行していることが予想されます。頚動脈エコー検査をして、頚動脈に強い動脈硬化が確認されれば、頚動脈だけでなく脳内全体の動脈硬化が疑われ、脳動脈硬化による脳貧血がフラツキを起こしている可能性が高まります。こういう場合は、脳梗塞に進展する危険があり、早急な予防が必要になります。このように頚動脈の動脈硬化が進行していると確認された患者さんは、さらにMRIで精密検査をし、脳梗塞の予防薬を投与しなければなりません。

 そもそも頚動脈は首の表面近くを走っているため、容易に超音波でみることが出来るのです(画像化できる)。体内の他の動脈の多くは体の深いところを流れているので、簡単にみることが出来ません。もし頚動脈エコーで動脈硬化の進行が観察されたら、脳動脈だけでなく体内の他の動脈も同様に硬化していることが推定されます。つまり心臓の冠動脈や腎臓の動脈硬化も進行している可能性があるため、これらの動脈硬化も調べる価値があります。このように頚動脈は患者の"体全体の動脈の窓"として動脈硬化の程度を評価するのに適しているのです。

 頚動脈エコーでは形態(動脈硬化)だけでなく、血流も測定することが出来ます。渡辺クリニックでは各年代の頚動脈血流の標準値があり、これを大きく下回っていると、脳血流の低下を疑います。つまり脳内の動脈がつまりかけているか、認知症のように脳自体の働きが低下している状態を想定します。また頚動脈エコーでは椎骨動脈の血流も測定できます。頚動脈が喉のあたりを走っているのに対して、椎骨動脈は首の骨の中を走っています。この血流が低下すると、フラツキ、呂律困難、後頭部痛などが出現し、これを「椎骨脳底動脈循環不全」と言います。恐ろしい脳梗塞に進展することがありますので、椎骨動脈の血流測定も重要です。

 以上のように10分程度の頚動脈エコー検査で、豊富な情報が得られるのです。

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